時実新子 のこと。 [書籍]
時実 新子(ときざね しんこ、本名:大野 恵美子(おおの えみこ)
(Wikipediaへ)
新聞やNHKに選評者や解説者として結構な頻度で名前が出ていたので、ときざね、というあまり聞かない苗字とともになんとなく記憶のどこかにあった。
だいたい
新聞の広告欄、で 「ぉ」 と目を奪われて、そこから入り込むというありふれたメソッドを辿ることが多い。
時実氏の 『有夫恋』 (既に絶版になっているのだが) の中の一句が、
彼女の追悼文を小さく寄せていたコラムに、載っていた(と記憶している)。
『 妻をころして ゆらりゆらりと 訪ね来よ 』
衝撃を受けた。
その一句がずっとアタマから離れず、ネッを検索して探しに探して、彼女の句集を
北海道の古書取扱店から取り寄せたのです。
川柳、といえば
時事・政治、流行物を面白おかしく風刺するもの、いいところ男女の恋の駆け引きを歌うように軽い調子でまとめ上げるもの、と思っていました。
時実氏の、・・・これは果たして川柳、なのか。
『 百合の香に包まれていて 謀反心 』
『 狂う眼はこうか鏡に訊いてみる 』
『 花燃して 残忍の自慰極まりぬ 』
一行詩のような、無旋律のような、詠めば整然と五・七・五 の旋律に乗るが しかし。
寄稿に
「彼女自身、主婦、母として人生の辛酸も舐めたが、ひとたび川柳を知ってから、唯一の自己表現としてひたむきに打ち込んだ」 (田辺聖子氏・筆) と記してあります。
十七で親の決めた結婚をし、子を産み育て・・・・
作者自身が 「あとがき」で書いています。
「・・・恋を恋し、人を恋し、やがて激しく愛を求める・・・青春の中で人々が自然にたどる道の辺の、小さな一花を摘むことも私には許されませんでした。なぜといって、すでに私は人の妻であり人の子の親であったからです。 有夫とは夫のあること、と辞書に出ておりました。ならば私の恋はすべて有夫の恋。・・・・・・ 私は何とかしてよい嫁になろうとしました。・・・・・・しかし、私の中の執拗な人恋はどうしようもありませんでした。なぐられても蹴られても、私は人を愛したい、人に愛されてみたいとねがったのです。」
彼女の境遇や生き方がその句を生み出したことに間違い無いがさはあれ、
一句一句が放つドラマや艶・輝きのようなものはあくまでその句自体に完結した世界だと思っている。
作者自身とても魅力的な女性だが、その人を知る以前も今も、句・そのものに打ちのめされる。
喉元を噛みちぎるような凶暴なエロスの中に
どこか覚めて乾いた 「存在」 が横たわって視ている。 そんな気配、がしている。
『 愛咬やはるかはるかにさくら散る 』
『 ののしりの果ての身重ね 昼の闇 』
『 ほんとうに刺すから そこに立たないで 』
『 あとすこしなれば許されずに歩く 』
<雑感> :
女は死ぬまでオンナ ・・・ と云えるワタシでありたいが、リアルはリビングに生息しているトドである。
トドだって眠ればヒトの夢を見る。・・・いや、これは川柳でなく。
※ 写真と内容は一切関係がありません。
(Wikipediaへ)
新聞やNHKに選評者や解説者として結構な頻度で名前が出ていたので、ときざね、というあまり聞かない苗字とともになんとなく記憶のどこかにあった。
だいたい
新聞の広告欄、で 「ぉ」 と目を奪われて、そこから入り込むというありふれたメソッドを辿ることが多い。
時実氏の 『有夫恋』 (既に絶版になっているのだが) の中の一句が、
彼女の追悼文を小さく寄せていたコラムに、載っていた(と記憶している)。
『 妻をころして ゆらりゆらりと 訪ね来よ 』
衝撃を受けた。
その一句がずっとアタマから離れず、ネッを検索して探しに探して、彼女の句集を
北海道の古書取扱店から取り寄せたのです。
川柳、といえば
時事・政治、流行物を面白おかしく風刺するもの、いいところ男女の恋の駆け引きを歌うように軽い調子でまとめ上げるもの、と思っていました。
時実氏の、・・・これは果たして川柳、なのか。
『 百合の香に包まれていて 謀反心 』
『 狂う眼はこうか鏡に訊いてみる 』
『 花燃して 残忍の自慰極まりぬ 』
一行詩のような、無旋律のような、詠めば整然と五・七・五 の旋律に乗るが しかし。
寄稿に
「彼女自身、主婦、母として人生の辛酸も舐めたが、ひとたび川柳を知ってから、唯一の自己表現としてひたむきに打ち込んだ」 (田辺聖子氏・筆) と記してあります。
十七で親の決めた結婚をし、子を産み育て・・・・
作者自身が 「あとがき」で書いています。
「・・・恋を恋し、人を恋し、やがて激しく愛を求める・・・青春の中で人々が自然にたどる道の辺の、小さな一花を摘むことも私には許されませんでした。なぜといって、すでに私は人の妻であり人の子の親であったからです。 有夫とは夫のあること、と辞書に出ておりました。ならば私の恋はすべて有夫の恋。・・・・・・ 私は何とかしてよい嫁になろうとしました。・・・・・・しかし、私の中の執拗な人恋はどうしようもありませんでした。なぐられても蹴られても、私は人を愛したい、人に愛されてみたいとねがったのです。」
彼女の境遇や生き方がその句を生み出したことに間違い無いがさはあれ、
一句一句が放つドラマや艶・輝きのようなものはあくまでその句自体に完結した世界だと思っている。
作者自身とても魅力的な女性だが、その人を知る以前も今も、句・そのものに打ちのめされる。
喉元を噛みちぎるような凶暴なエロスの中に
どこか覚めて乾いた 「存在」 が横たわって視ている。 そんな気配、がしている。
『 愛咬やはるかはるかにさくら散る 』
『 ののしりの果ての身重ね 昼の闇 』
『 ほんとうに刺すから そこに立たないで 』
『 あとすこしなれば許されずに歩く 』
<雑感> :
女は死ぬまでオンナ ・・・ と云えるワタシでありたいが、リアルはリビングに生息しているトドである。
トドだって眠ればヒトの夢を見る。・・・いや、これは川柳でなく。
※ 写真と内容は一切関係がありません。
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桜の色は・・・・
人の血を吸ってあのきれいな色を出しているとか〜
お墓の周りにも桜多いでしょう〜♪^^
エロスと狂気・・・・隣り合わせのことが多いよね〜♪
共感する部分・・あるよ〜^^
実はエロ作家志望やった事があって・・・・・
どんな話しも・・・ド〜〜ンとこい!です。(笑)
by hatumi30331 (2012-06-01 14:04)
こんにちは^^)
俳句・川柳の風流な心得は全く無いのですが
拝読するとそれなりの感情を持ちます
オトコの立場からは理解不可能なのでしょうが
傍観しながら理解できればいいなぁという感覚を持ちます^^)
by rtfk (2012-06-01 15:32)
●hatumi30331 さま ありがとうございます^-^。
梶井基次郎ですか^-^いいですねぇ。
桜といえばその多様さは又女性のココロの裏腹・そのものかなぁ、と。
作家志望だった と聞いて さもありなん!と 思いましたが
エ・・・〇ロ作家ですか。またなんとピンポイントな!
頼もしい限りです。(・・・エ?)
●rtfk さま ありがとうございます ^-^。
つい煽りを入れて選句してしまいましたが、
も少しふわっとしててユーモアの漂う句もあるんですよ。
男性描写の上手い作家、とも田辺聖子さんはおっしゃっており・・・。
「茶碗伏せたように 黙っている夫」
オトコゴコロ に去来する 哀調 をまた知りたくも有り。
by cassis (2012-06-01 22:41)
・・・一切関係がありません・・・
の写真の方が気になりました。
「この手?(苦笑)」のもの好きなので。。。
by olegon (2012-06-02 12:07)
●olegon さま ありがとうございます^-^。
日々、手を粘土まみれにしながら製作してます。
なので
あえて突っ込んでもらえたことに喜んでおります (/o^∀^o)/
by cassis (2012-06-02 15:49)