SSブログ

父、逝く。 [遠距離介護]

断り書き:

(ありふれた或る出来事。
ある老人 老いた父  ワタシの息子の祖父の 死。
一人娘が 残しておきたい 忘備録。) 

11日 木曜日。
息子が近所の友達の家に遊びに行き、帰りに焼き鳥を買って帰る。
(・・・いや、自分の意志じゃなくて、予めお使いを頼んであったのだが)

木曜日恒例で、ワタシが大好きな焼き鳥だが、近頃それだけじゃ飽き足らん、という
旦那様のため、買ってきた生ハムで何か作ろう・・・と準備していた頃。
いつもの日常。

電話が鳴り
「〇〇病院です。・・・お父さんの容態が変わりました。」

ワタシ、
「容態が変わったというと、具体的にどう変わったのですか」
こういうことは、わざわざこちらサイドで察してやるべき事象ではないと思う。(←イジワルクネ?)

「・・・呼吸が止まりそうです。すぐ駆けつけられるご親族か誰か、いらっしゃいますか?」

速攻電話を切ると 本家の叔父に連絡。不在。
母の施設に連絡。とにかく、送り届けてもらって 
なんとか間に合うように・・・

「先方に誰か居ないと、お母様を送り届ける事ができませんので・・・」 と施設長。
ぬぬぬっ。
・・・・・・
ええいっもうっっっ。
あわてて近所のTさんに連絡。
すぐに駆けつけてもらう事に。それから母の施設に再度連絡し、すぐに母を送り届けて欲しい旨伝えて
ガチャンコ、と受話器を下ろす。

そのすぐ後に 本家叔父さんの家から連絡有り。
叔父が出先から引き返して病院に向かうので
ワタシはすぐに支度をして 帰省の途に就いて欲しい、と。
旦那に連絡をし、父危篤の旨伝え、
支度をしながら
「あー・・・喪服をどうしよう。・・・きっと要ることになると思うけど・・・準備して良いモノやら・・・」
と アタマで考えながら、あまり手がてきぱきと動かないという
ありがちではあるが自分がそうなる、というのが不本意な状態に陥っていた。

電話。
主治医のH先生より。

「お父さんなんですが・・・・。わたしが病室に来たときには既に呼吸が止まっていまして・・・。
すみません・・・。」

ワタシ

「何時何分でしたか?」 (ドラマみたいねぇ、とアタマの中のワタシ)

先生
「17時30分でした。」

ありがとうございました。と 云いました。

それと、ワタシが病院に着くまで少し時間がかかりますが、それまで・・・

「それまで、お父様は別室でお休みいただきますから、気をつけて来てください。ほんとにすみませんでした・・・」
お医者さんが「すみません」を連発している事態が、少しだけ可笑しくなってしまった。

そう、つい昨日、念を入れて

「ワタシ、帰省はどんなに急いでも二時間半、かかるんです」

「わかりました。少しでも変化があれば出来るだけ早くお知らせするようにワタシも注意深く見ていますので」

・・・という会話を交わしたばかり、だから。
それだからって、仕方が無いことは充分承知しているのに、謝ってくれるのかぁ、と。

帰宅した旦那様に 父の死を告げ、喪服を支度し(実はちょっと用意していた)
、車に乗り込んだ。
誰一人、間に合わなかったという事実が妙に、すがすがしかった。
平日の夜の高速道は空いていたがそれでも
夜のため見通しが悪く 雨も降ったので
三時間かかって病院に着く。

看護師に案内されて別室へ。既に幾人かが中に居た。
車椅子の母親。
叔父さん。
父方の従妹(いとこ)。
母は、孫であるワタシの息子に向かって

「〇〇(息子の名)、じいちゃん、死んじゃったよぉぉぅ。」(見れば判るよ)

そんなリアルかつセンシティブな問題をいきなり投げられてもウチの息子だって困る。
息子は黙って父の傍らに行った。

そしてベッドの上に 父。

生気が抜けているので、よりいっそう小さく しぼんでしまった父。
頭蓋骨に 申し訳程度に皮膚が張り付いている感じだ。
すこっ・・と、魂は下のほうに抜けていったんだなぁ、的な様子で、
もう起きなくていい眠りを貪っているようだ。

眼窩が 半分開いている。下顎が開いて落ちてしまっている。
ちょっとあんまりな死に顔だなぁ、と思ってみていると、
傍らに居た息子が
鼻を啜りだした。泣いているのだ。少し驚く。

先ほどまで何事も無いように車中でDSを持ち出していた息子が泣いている。
ワタシが小学二年だったなら、どうだったろう、など
とりとめのないことを、息子を見ながらぼんやりと考えていた。

父の顔はもう余り見ないようにした。
だって、お顔の様子が、ちょっとあんまり残念な感じがする。
幾度か瞼(まぶた)を押さえるのだが、一向に閉じないのだ。
うむむ、残念な痛い・・・いや、遺体処理。

死んだ後、何がそんなに見たかったか、父。(苦笑)
(一目、娘のカオが見たくて・・・という突っ込みはなしにしてください)

やがて主治医の先生が入ってきて 経過を説明する。
結局誰一人身内も近所も間に合わなかった。
実は先生、看護師すら知らないうちに父は逝ったらしい。

最期まで見事な周囲への気遣いっぷりだ。

先生曰く、
「ご本人は解らないくらいじゃなかったでしょうかね・・・きっとほとんど苦しまなかったと思いますよ。」

いや、「ご本人」はほとんど解っていたみたいです。・・・
・・・ワタシは、とりあえず昨日、非公式に父とお別れ、を済ませた事は伏せておく事とした。
云った所で、だ。 
誰も楽しい気分にはならない。


駆けつけてくれたTさんら近所の人々は一足先に自宅へ 父を迎える準備をする為に
戻ったそうだ。
今頃近所中の人々が我が家に集って待っているのだろう。

病室の向こうの暗がりに待っていたのはメンインブラックみたいな 葬儀屋の メン2人。
この人々のご助力をあおいで、これから父を弔う一連の作業が始まる事になる。
アタマは事務的に、今後なすべき事ばかりを追いかけ始めた。

悲しんでいる時間、は無いのだ。
少なくとも、ワタシにはおそらく・・・当分、は。

田舎の、「怒涛のように過積載」なお葬式は、
或る側面においては
身内も 救われる部分はあるのだが。・・・・・・
nice!(4)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 4

コメント 6

rtfk

お悔やみのnice!を押させていただき失礼します
怒涛のような日々が続かれると拝察いたしますが
どうかお疲れになりませんように。。。。。。

by rtfk (2012-10-18 06:33) 

ryang

お悔やみ申し上げます。
お父様に会ってお別れができて良かったですね。
本当にお疲れ様でした。
by ryang (2012-10-18 21:08) 

olegon

お悔やみ申し上げます。

周りへの気遣いで今は悲しい気持ちになる事もできないかと
思いますが、時間が過ぎてそんな気持ちになった時は
100円招き猫を思い出して下さい。。。

お母様が少し心配です。。。

by olegon (2012-10-18 23:49) 

cassis

●rtfk さま ありがとうございます^-^>。

不調法ながら頑張っております(え゛) ←ワタクシへの
お褒めのnice! ですよね?
勝手に解釈しております。
もうちょい、色々頑張りまーす。

●ryang  さま ありがとうございます^-^。

今後とも変わらぬお付き合いの程を・・・・。
あとはまた、読み物として見ていただければ幸いです。^-^
<m(__)m>
まだまだ色々、アドバイスいただかなくてはならないようです・・・。
大ボス、の母 健在、です。

●olegon さま ありがとうございます^-^。

百円招き猫、は天啓、でした。
あの調子でワタシもありたいです。
そちらの可愛い、とかぶるところが多くて
楽しみです。お気遣い 滲みます。


for all : コメントに不具合ありました。お詫びします。
 
(コックリコックリやりながらキーを打つものではありませんね)(/_;)
by cassis (2012-10-19 08:30) 

娘。

お悔み申し上げます。
悲しい反面、それだけではない、怒涛の忙しさがやってきますね。

私はお父様にお会いしたことがないし、ここで様子を思い浮かべるだけ
でしたから、すごく急に感じます。

娘を気遣う優しいお父様だったように感じます。

忙しいと思いますが、私も遠い静岡からお見送りさせてもらいます。





by 娘。 (2012-10-19 21:57) 

cassis

●娘。 さま ありがとうございます^-^。

なんといいますか、色んなパターンで常に走り回っているこの頃です。
父の死は時間的には突然でしたが
早くから解っていたところで、覚悟の深度は深まりませんので
色々と仕方の無い事、と考えています。

どこの父親も同じでしょうが、娘を気遣う、優しい良い父、でした。
もうちょっと、晩年は自分の為に生きて欲しかった、と思うのは
子供の常、ですかね。

優しいお悔やみを 静岡から受け取りました。 有難う。・・・
by cassis (2012-10-20 14:30) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

父の。鯖缶納豆(・・・え゛ーー)。 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。