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トマト畑。 [記憶]

どれくらい昔のことだったのか
記憶がもはや混濁 (ぉぃぉぃ)

それでも

トマトの話しが何かの折に出るたびに
自虐と 自慢含みでこの話しをしているからそろそろ
家族の間では
顰蹙(ヒンシュク)を買い始めているのかもしれないけれど


ワタシのトマトに関する 鮮烈な記憶。


小学生の頃にまでさかのぼるのだが




当時 牧場と見まごうばかりの広い土地に 
村中の人々が 畑を持っていた
ウチもごたぶんにもれず
時期と見れば日々 朝から晩まで
山の上の畑に 父も母も ワタシを連れて通っていたのだ

イメージとしては「開拓民」 が近い。(かも)

もっとも 自分たちで開拓したワケではなくて



埋めよ増やせよ、ではなく
広げて耕せ、政策を 当時の首相 田中●栄が 急遽
それこそブルドーザー並みの勢いでもって
自分の生まれ故郷の農地改造に 心血注いだ結果である。



だだっぴろい 山のてっぺんの牧草地に これまた広い畑のモザイクが
無数に出現したのだった。


初夏ともなれば

ウチ含め
近所の家々が 山の台地に集い


くだんのだだっぴろい農地いっぱいに植えた地這いトマト (当時はトマトといえば地這いでした) を
一斉に収穫していたのです
無論、手作業で。 手積みトマト。


当時、農家なんてそれこそ 山師、だったのだ。
(失礼…実家限定です)



JAの 「コレを作りなさい。」の 言葉に踊らされ
路頭に迷う農家続出



そこで 家・家財を売り払って最新の機械を入れてラクになろう、なんて
どこの農家でもそんなことはもはや怖くて手を出せず
ひたすら地道で非効率的な手作業に殉じていた。


地這いトマトは ヒトの手で収穫される。
単純作業なので 子供も年寄りも およそ手の空いているヒト全てが借り出される


山の上の 広大な台地が 青臭いトマトのニオイで満たされる。…


実際
収穫期ともなれば 青いトマトも 赤い完熟トマトも 同時に収穫される
収穫適期に満たないものはハネられる。
ハネられた青いトマトのニオイ
一方完熟トマト、といえば
当時は ジュースにしかならない代物だった


青いトマトは捨てて
完熟トマトは ジュースになる
その程度のトマトの地位だったのです。



数百メートル離れた畑からも もいだばかりのトマトの切り口が 匂って来る
ワタシはそれが 大好きだった。

「青いトマトは 毒だからね」


そんなまことしやかな大人の台詞が ほとんどが間違っていることはうすうす
判った。
目を盗んではこっそり ハネられた 青いトマトの ニオイを嗅いでいた。
山、と詰まれた青トマト。

畑中に充満する ソレ。



見上げると どうしようもないくらい 青くてだだっ広い空


ワタシはその当時 「海」 を (たぶん) 見た事が無かったけれど


きっと 「海」 とは こんな風に どうしようもなく 広くて青いものなんだろう と
そっと 想像してみたりした。


収穫したトマトは当時、みんな 「トマトジュース」 になる。 と訊かされていた。



トマトは大好きだったが
ジュース
アレは飲みづらくて キライだった。
「吸血鬼」の フリをして やっとこ飲めた代物だった。




仲良しの Mちゃん一家が 台地の畑にやってきていた。


ウチの畑より数キロ離れた場所にあったが トマトの収穫期が 等しくやってきていた頃には
御互いの畑を行き来、して
青いトマトの実をもてあそびながら
遠い空を見上げて 


このトマトの行く末を 想像したお話を作ったりしたものだったが




Mちゃんとは 親友の契りをこの先結んで
さらに
しばらくのち


手ひどく 
「最悪のお別れ」 をすることとなる。




今でも トマトは大好きで

…何処のトマトを齧(かじ) っても 当時の味には及びも付かなくて



有り難いことに


肝心の記憶を遠ざけている。 




a0002_011826.jpg

地這いトマトは もっと薄汚れていた。

photo by「足成」



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コメント 2

ryang

昔のトマトは青臭くて美味しかったですねー。
今のトマトは、青臭くないのと薄いので
なんだかよくわからないモノが多いです。
なんでこんなモサモサなんだろー、ていうのに
当たろうもんなら悲しいです。
青いトマトの海、泳ぎたーい(o^^o)
by ryang (2014-08-15 11:28) 

cassis

● ryang さま ありがとうございます^-^。

そう、モサモサなんです (´;ω;`)
野生種に近い、と云われたミニトマトでさえ
すっかり 違うものに改良されてしまっていて
スーパーのトマト、は お皿の飾り、と割り切るしか
ガッカリ感、を癒す術はありません。

あたり一面に匂った青いトマト、
ホントに、ダメって云われても齧りたい香りでした。

by cassis (2014-08-15 23:09) 

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