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夏の思い出。 [記憶]




ド田舎の生まれです。

ド田舎(※同様な環境下にお住まいになる人々よ。 デイスってません。
むしろあの時代を満喫したことを威張りましょう。 当時の手付かずの大自然はもう戻ってこない…色んな意味で。)



小学生の息子が夏休みに大量のテキストをかかえて終業式から
帰ってくるたび

ぼんやりと思いを馳せる 遠い  自分自身の 夏。




幾たびか巡っては 遠く記憶の向こうで絵画みたいにかしこまってある
「夏」。



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なににつけ、夏らしさを思う時
脳裏に浮かぶ懐かしい記憶は  夜の風景です。
田舎の夜は 濃いい暗闇の中に明滅する 電信柱の明かりだったり

知らない家の常夜灯だったり


そして 『ヘビ花火』 の燃えるニオイと共に思い出す

蛍の群れの明滅する光。

『明滅、』 と書けば 字面から 
「ほのかで淡い たよりない光」を思い浮かべるでしょ




違う・ん・だ・な




いや、確かに1匹が田んぼの上に ひろひろと 泳ぐように飛んでいるさまは
文字通り頼りない行灯の如くの明滅なのだが

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当時の田んぼを取り巻く環境と云えば
コンクリの側溝などは 田●角栄先生全盛以前の環境であったのでまだ
直接地面に溝を掘って山からの湧き水を流すシステムだった。

そこで 純然たる自然100パーセントの天然水が田んぼの周りを縦横無人に
巡るのがフツー



早い話が 「 蛍・ 爆殖 」 !!



小さな天然の側溝 (というにはあまりに小さな溝) には
やはりそこにふさわしい小さな生き物が沢山居て

中でも私たち子供の格好の遊びアイテムになったのが
カワニナ (※もちろん当時は学名では呼ばなかった)

蛍の幼生のエサ、である。



粒の細かい土の堆積物の上を よちよちと動線をつけて這い回るカワニナを
私たちは 『べーなじ』 と呼んだ。(『べーのじ』 とも)

ベーなじ、が沢山見れるようになる頃合の
夕方から夜半にかけて


夏の夜は蛍が 家の廻りを埋め尽くした。
蛍は 



特に水の落ちる場所を好むらしく
繁殖相手を探すために そこいらに群れるそうだ
側溝の小さな30cm程度の落差

(=滝)

のある場所に 群れていた。



妖しい青い光をめがけて 水の中に手を突っ込んですくい上げると


両手の中いっぱいに 蛍が 何百匹と すくえるのだ

『蛍の墓』 のせつこ 状態です
あの映画は 誇張なぞではけしてなく
ホントに 手のひらいっぱいにすくった蛍は
手のひらを溢れてその光が 顔に反射するくらい 一斉に光るとそりゃあもう

凄いもんでした。

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そっと閉じた手のカゴの中から 明滅する青い光を見ていると

当時、小学生ながら

 「こんなに凄い綺麗な景色は 見てはいけないくらい怖いもの
かも しれない」 

そんなふうに思ったもんです。 根拠も無く。



蛍は 手のひらで掴むと ちょっと独特のクスリのような匂いがするんですよ
そして 捕まえたままでほおっておくと 翌朝には死んでしまうのであります。
(なんで蛍すぐ死んでしまうのん?) (※ しつこい)


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当時の宵闇は 蛍の光で浮かび上がった田の稲と 仰げば やかましいくらい星と天の川が
競い合う空とで
大変賑やかでした



空と云えば
ある熱帯夜の夜


あまりの暑さに眠れずにいる ワタシと父と母とで

イエの隣の狭い農業道路に 花茣蓙を敷いて

そこに3人で川の字に寝転がって 暫く夜空を 眺めていたのは
今でもずっと 覚えている



当時の夜空は 夏になればそれはそれ賑やかな天の川っぷりでした

花火見物に夕涼みがてら表に出て

終わった後の空を見上げたら
子供ながらあまりの星の数の凄さに 息を呑んだから (本当です)

天の川というのはホントに 乳白色の川で

銀河は 星たちが寄り固まって作られているのだなぁ、としみじみと思ったと同時に

やはりこれは 「簡単にヒトがみていい景色じゃないなぁ」 などと思った。
(田舎育ちはすぐに 自然を畏怖してしまうのです)


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蛍はある年、忽然と消えた。
造成が終わり、沢山の キレイに四角く整備された田んぼができ、
1日2回、定期的に農薬が まかれるようになったその年以降、
年に1匹、見れなくなったし


星空こそは いつのまに見えなくなったか
それこそ都会部とは隔絶された我がホームタウンなのに
まぁ、空はね  見れないけれども あるんだよ
と金子みすずみたいに 考えてるけれどもね

蛍はもう 戻らないだろうな
『ベーなじ』 が 見られなくなって久しいしね


色々仕方が無いこともある
古の清らかさみたいなものを
バトンリレーしてこなかったことについて
責める論拠も無いし 責められる理由も無いと思う



遺産とか 欺瞞だ、と思う自分もいる
なにもかも 「無常」 だ
タイムカプセルに閉じ込めてしまうことこそが 不自然に思えることもある

[犬][猫] [猫]



こんなに鮮明に記憶の中にあり 脳裏に浮かぶものを

自分の子供に 「ほら、これ、これだよ」 と共有できない
そんな残念さ、はあるけれど




何十代・何百代歴代の 親という親 たちが 陥ったジレンマなのかもしれんね。



hot.jpg

画像は借り物です。






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コメント 6

獏

獏も負けじと超・田舎育ちでございまする
ホタルの匂い 覚えています、というか
拝読して 鮮やかに思い出しました(^^)
素敵なことを思い出させていただき
深く感謝いたします☆
そしてそれがまだ自分の記憶の奥底に
にとどまっていたことを
とても嬉しく感じています
御多分にもれず我が田舎も多少の開発行為などあり
獏が幼少の頃とはずいぶん異なった趣に
なってしまいましたが
たまの休みに帰省して散策すると
当時へのタイムスリップのネタを
発見することもあって
田舎があることと ご先祖様に感謝するのです
獏の夏休みは クワガタと合歓の木の花♬

by 獏 (2015-08-01 06:34) 

のらん

私も、子供の頃は、実家のそばの田んぼの農水路に
ごく当たり前に蛍がいて、採って帰って、蚊帳の中に放してた。。
翌朝、死んじゃってたわ〜(/_;)
by のらん (2015-08-01 12:11) 

Chobi.H.YAOITA

子供の頃、田舎の夜空を見てあまりの圧迫感に
「田舎の空怖い」
一人でビビッていました(^_^;)
たぶん「あの世」とか「死の世界」みたいな感覚です

叔父が指差して
「ゆっくり動いてるやつ、あれが人工衛星だよ」
本当にひとつ動いている星があった…という記憶があるんですが…何かの思い違いでしょうか…?
by Chobi.H.YAOITA (2015-08-02 11:29) 

Chiffon

私も小さい頃、両親と一緒に夜に車で出かけて、田んぼへ蛍を見に行った記憶があります。
私たちの子供時代には、まだこういう思い出を持てる時代だったんだなあと懐かしく思います。
by Chiffon (2015-08-02 16:15) 

ryang

オットの実家の近くも、鮎がたくさんとれて
川遊びに入ると足に寄ってきてくすぐったかったのだけど
上流にダムができて、川が整備されて、鮎は養殖の
放流でしか居なくなった。と言っていました。
そういう場所や物が失われていくのはなんとも...
お金を払って便利な生活をして、便利なんだけども
大事なものを置いてきてしまったような…
by ryang (2015-08-02 20:50) 

cassis

●獏さま 有り難うございます^-^ 

記憶の反芻をするのって 自分では
「お手入れ」のような感覚でいるので
なるべく長持ちさせて 向こうまで持っていこう、
そんな風に考えております。
どんどん美化されていくんでしょうね~w
フィクションも付け足されていくのかな。
そこはご勘弁願って…

クワガタは激しく共感
大きなミヤマクワガタ氏は夏の間の誇らしい友達でした♪


●のらんさま 有り難うございます^-^ 

蚊や、イイですよね。
アレが吊られると 「夏の訪れ」でした
あの中に蛍を放して、なんでか
簡易的な宇宙を手に入れた気になっておりました

翌朝のリアルとギャップが激しくて
そこもまた真夏の夜の文字通り 「夢」、でしたワ


●Chobi.H.YAOITAさま 有り難うございます^-^ 

宮澤賢治も死後の世界を銀河の果てに見て取ったくらい
夏の夜空は凄かったんだと思います。
星空の平原と云われて、目に浮かぶのも容易ですもの
ところで 人工衛星、見ました見ましたw
やけにヨチヨチ動いてて、
夜空の中のミジンコみたいな感覚ですよね


●Chiffonさま 有り難うございます^-^

観光用に仕切られた池、とかでなくて
アツーに田んぼで蛍を見た時代
…ゼイタクな時代を生きましたよね~。

子供は見ることは出来ないけれども、
『おばあちゃんの頃はね…』 と 
孫やその先に放して欲しいなぁと密かに思ってます。

 
●ryangさま 有り難うございます^-^ 

くすぐったかった感覚、ワタシも覚えてるなー^-^

大事なものを色々と置いてきてしまった世代ですが
それでも
思い出を結んだ紐の端っこだけは握ったままで
引きずっていこう、と思っております。
色んなヒトの記憶を結び付けていくのもイイかなと。

そしてワタシの記憶の一旦も共有して下されば
幸せです^-^v

by cassis (2015-08-02 21:57) 

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