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父。 [遠距離介護]

日帰りで実家へ。昨日から文字通り「東へ西へ」の道程だ。

母曰く 「アタマのおかしくなった」 父の様子を見に行った。
居間に居たのは、現状がいまひとつ理解できず苛立つ母と

矢吹 丈 の如く 燃え尽きてうつむいている 父。
(笑っちゃうほど、まんま"最終話"のジョーだった。)

骨と皮、という形容がこれほどぴったりと当てはまる図が他に浮かばない。
飢餓地帯の子供だって、瞳はしっかり生きていることを知らせるように輝くが
父の目は濁って あらぬ方に浮かんでいるかのようだ。

「お茶はこぼすし、食べ物はこぼすし、何か聞いても返事もしないし、第一、
・・・
ご飯が出てこないんだよぅ。」と母。

・・・父は私達が帰省したのを知ると手を軽く挙げる。

孫が来たのを知ると、うっすら笑顔になり、いつもの「日常」に戻ろうと、懸命に引き出しの隣から
ジュースのパックを 三つ、 おぼつかない手で出して、前に押し出す。

ワタシたちに、「飲め」 と云っているのだ。
そうして、自分が手にしたドリンク剤は、口に入れてもこぼれてしまう。
こぼれるのは、飲み込めていないからだ、と真っ先に旦那様が気が付いた。

なぜ、

こんな風になってしまったのだろう。

先ほど叔母(父の姉)が従兄弟と一緒に来てくれて、ご飯の支度をしてくれたのだそうだ。
此処に至って 母の心配は今夜と明日の「自分の朝ごはん」 である。

明日はケアマネが (あくまで善意で) 父に 立ち合ってくれて受診する。

消えてしまいそうな父は、私達が「今日は帰る」 というと

「大丈夫だから。気をつけて帰れ」 とかすれた声で、しかし笑顔で、手を振った。
誰がイケなかっただろう。アタシなのか。そういうと旦那は「そうじゃない」、と云うけれど。

振りあげた握りこぶしの 収めどころがみつからない。
自分で自分のみぞおちを 殴りたかった。
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