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『昭和の犬』とアラフォーとその時代。 [遠距離介護]

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姫野カオルコ 氏が直木賞 を受賞されました。

(Wilipedia→姫野カオルコ)


この方は1人っ子であり、学生時代から親元を離れて生活され
時折小説誌に掲載される自伝的な内容の掌編でそのことについて触れておりました。

同年代で1人っ子ということで単純に親近感が沸き
初期のエッセイがまた 抱腹モノで
好きな作家の1人でしたが

数年前 『婦人公論』 という雑誌で この方が
私の遠距離介護」 というタイトルだったか 体験談を寄せられており

その内容が当時いちいち身につまされて( ワタシだけじゃないだろうなと思います )

しばらく ちょっと心が折れそうになると繰り返し読んでは

「ワタシだけじゃない、ワタシだけじゃないぞ」 的な

『寂しいのはオマエだけじゃない』 的な (・・・誰か覚えている?)
後ろ向きなワタシのオピニオンリーダーとして 心中奉っておりましたが

・・・・今回の受賞作 『昭和の犬』 がその辺にかなりタッチされている内容らしく
珍しく 刊行直後に 買いました。

(・・・しかしまぁ、地方のブックストアなんてこんなかな というほど地味な平積みでした)


あいかわらずちょっと独特の とっつき難い文体でしたが
読み進めればリズムに乗れるし、何より今まで余り知れなかった生い立ちの部分とか
当時の父母との関わりとか細やかに描かれており
そこにその時代時代で 飼われていたり 関わったりした
犬達との エピソードがうるさくなくちりばめられておりました

キーポイントになる犬が
ちゃんと「犬」の分を 超えていないのが良かったです
ヘンに擬人化された犬だったり エピソードが泣かせるようなものだと つい
ウソくせーーー 
・・・って思う 年頃です。(コラ

犬は犬の 猫は猫の本能に従って生きるものですから

以上でも以下でもない 動物としての犬がそこに居る感じが心地よく
ああ、自分も犬と関わった日々、他人と自分を測り
自分自身を測り そして自分の居場所を捜していたな、とか
大人の得体が知れなくて恐怖だったことなどとか
今思えば 大人に取って自分は得体の知れない存在だったかもとか

今にして大人目線で見る「当時の自分」 とか (ショウジキムカツクタイプ)


・・・早い話、昭和の当時の 当たり前な時代の臭いや
昭和の人である読み手=自分自身の影みたいなものと ピッタリ重なる部分があり
感慨深かったです。
やんぬるかな1人っ子・・・こうなる、こうなる。うべなるかな。

(この「うべなるかな」というフレーズが本編のそこかしこに出てまいります。
「むべ」 の副次なんですよね
ちょっとした語彙への違和感を持たせたりするのは作者の仕掛けなのでしょうか)


小タイトルが昭和当時を席捲した洋もののテレビドラマのタイトルになっているのが
『テレビ探偵団』 フリークの付け入るスキを与えていて? そこは泣けます。
(それはまたそれで 別の目線で)   

作者はごく軽く触れるにとどめていますが後編部分で
自律神経に初期変調の兆しとして現れる症状について 描いている箇所があります


振り返るとワタシも二度ほどこの変調に悩まされていた時期があり

理由も無いのに突然涙が滂沱と押し寄せてくるのに参ったことがあり
(精神的なダメージを放置しておくと身体的な変調として出現します
曰く:体は正直)


ああ、こうなるこうなる
とページの向こうの単位の知れない読者にうなづかせてしまう チカラのようなもの

近年の最小公倍数的カテゴリーの中では
今回の彼女の受賞が

ワタシ的に しっくり来た、ということに他ならないです。
極めて個人的な感想です。
少なくともこういう環境で育ってきた一人娘がこんなことを思いながら
こんな感じに育っていく 場合もあるぞ、という


あくまでタイプブロックの1つだろうなとは 思います。

しかしまぁ 新刊、やっぱり安くないよねー(泣











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獏

姫野さん お名前しか存じません(@@;)
読んでみようかという気になりますが
獏に真珠、もとい豚に真珠かも・・・(涙)

by 獏 (2014-02-07 18:47) 

cassis

●獏 さま ありがとうございます^-^。

・・・文庫になるまで待つ、というのも
多読派には必要なことです。実際
新刊は置き所に困るしかといって
いつも果たして売るほど熟読したか・・・?

と葛藤してしまうのです。・・・ナンチテ│・ω・`)
by cassis (2014-02-07 19:38) 

ryang

姫野さん、キメの粗い分厚い肌...っていうくだりを
覚えています。好きな本とそうでもない本とあって
アレ同じ人かな?? と思うこともあったり。
無冠の女王とか言われていましたがついに受賞ですね。
よかったよかった。
文庫が出たら読んでみよう。という...すいません(><
by ryang (2014-02-08 18:15) 

cassis


●ryang さま ありがとうございます^-^

そうそう、ちょっと「食べきれないな」盛りの
量の内容もありの、
「ちょっと好みじゃないかも」という
内容もありの、
そういう点では読み手に迎合しない
書き手のように思います。・・・この方も
親御さんで結構「泣いた青春」のようです。(^_^;)

あ、商品リンクはお気になさらず。単に
「え゛、こんなのも売ってるんだ」 を見つけるのが
楽しい時期です。わははは。
(どんだけ原始人)


by cassis (2014-02-08 21:29) 

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