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お祭り考。 [折々に]

夏休みは 地区主催による夏祭り運営に参加し
平日も休日も祝日も 「打ち合わせ」と 称する会合に参加
私的に非常に多忙な日々を過ごした。


例年子供と旦那以外 自宅待機分子としてそれなりの優雅な日々を過ごしていたのだったが
今年は 自分のパートタイムのお仕事の多忙もあり
「あっ」 という間の夏休みだったけれど。


先日、その地区夏祭りの反省会があり参加した折にふと
感じたこと。
(相も変らぬ好き勝手)


『一切業者の手を入れず、地区の皆さんの手づくりで開催している旨 多くの方に評価していただいて・・・』

実行委員会の長が そのように言うのを聴いていてふと 思ったこと。


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遠い昔の記憶なんですが



実家の隣町で年に一度 秋の御彼岸の頃に
お祭りの副次物として 催される 普段とは違う興行、いわゆる
「テキヤ」 の方々が広げる露店の屋台 が
えんえんと軒先を連ねる その日を 「市」と呼んだ。


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photo by 『足成』






叔父の住む地区の秋祭りの翌日に 隣町で催されるのが恒例で
メインのお祭りと 同時に 足掛け2日を楽しめるこのイベントが
子供ながらに とてもとても 楽しみだった。


およそ目に入る 数100メートルの細い道沿いの 
両側にびっしりと テキヤさんの屋台が並ぶ

子供にとって これほど楽しい イベントがあるでしょうか?
あたかも



延々と続く 回廊のようなこの道の途中途中には
様々な トラップが待ち受けていて
型抜き菓子やら射的やら で横丁に引っかかっていると そこで時間がとられてしまい
・・・




結局最後まで行き着いたことが無かった
だからそもそも あの屋台の回廊は 果てがあったのだろうか、と
今でも不思議に思うくらいだ


しかも
屋台に待ち構えているテキヤの お兄さんたちは皆 物売りの「プロ」。
そうして 平台に並んでいるいかがわしく? (失礼) 得体の知れない売り物を
丁々発止のやり取りのうちに 見せびらかしては 売りさばく
その駆け引きの妙を 子供ながらに 「決して騙されまいぞ」 の覚悟のもと挑むんです

(そうして気がつくと両手にかかえきれないガラクタ?を買い込んでいるという)



昼間の市でもこれだから



夜のお祭りのお店となれば
妖しさ倍増 
普段の比べれば尋常でない数のロウソクに照らされた夜の鎮守に
ただ賽銭を高々投げ入れてくるだけのミッションが
「ここぱ 何処の細道じゃ」  といった暗いファンタジーに満ちた道のりになるのである


恐々、子供が通るたびに
テキヤのお兄さんなりおばさんなり(公平を規する為に おじさんなり) 
が声をかけてくる


「いらっしゃい 覗いて行きなよ」 (ニヤリ) 

視線を
かわすのに精一杯


「本気で子供を騙してくる大人」 と最初に接する機会
それが 屋台だった当時


つまり 物心ついて初めての 大人の世界との接点だったのね


明るくなった日差しの下で

自らの手にしたものたちの 呆れるほどにくだらない
「何であの時こんなものが欲しくなったのかなぁアタシよ?」
という 後悔と さばさばした敗北感がお祭りの副次品だったなぁ、という


そんなわけで
「テキヤ」さんのお店の並ぶ季節の催しは
折々に それはそれは スリリングだったんです。


故郷を離れて久しぶりに里帰りしたある夏のこと


いつのまに 「市」 は地元地区協の 手づくりイベントに取って代わられていたのだ

「健全」 な 地元の商工会議所が
白い清潔なテントの下
「手づくり」の イベントを全面に出して野菜を配っており

それはそれで 良いモノなんだろうけれど

ワタシの回想ものとのギャップと 「がっかり感」 たるやハンパ無かったことを思い出す。


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初めて子供が本気で騙そうと仕掛けてくる大人と一緒に上がる舞台。
うまく騙されて夢の世界に浸るもよし

そうしてのちのち
大人の本気のウソに触れて 柔らかく苦い思いをするところ

っていうイメージを ほんのり持っております。





決して 「手づくりのイベント」を 否定するものではアリマセン
ただ
あの未知のものに触れるなにかこう 微妙に妖しく不健全な
しかしワクワクする感じ は


今の子どもたちは どんな風に感じるのだろうなぁと
一抹のオマージュと共に妄想するのであります。



そうねぇ
当時 親戚のお兄ちゃんに読ませてもらった 『つげ善春』 の漫画の読後感
あれに似ている気がします
(あるいは 淀川さんぽの作品の) ( ← ※解るヒトだけ解ってくだされ)



なろうことなら 大人になった今こそ 再びみたび、邂逅してみたいと思うんであります

(売るほうが似合ってる、という声は却下する)




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photo by 『足成』




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ryang

そうですね~
ここらも、区民祭りとかいって
縁日というのよりも、地元の企業や団体が
健全に実施しています。つまらんです。
あっ、言っちゃったよ。

なんだか急ですよね、危ない世界を
「...近寄ったらイカンぞ」と自分なりの警鐘が鳴る、
っていう機会がないまま、急に危ないことが現れる。
感性が鍛えられていないというか、「全く知らない」まま。
ガッカリ。まさに、という感じです^^
by ryang (2015-09-25 21:13) 

cassis

● ryang さま 有り難うございます。^-^

なんですか、プロのてきやの世界は遠めに
「挑む。」 という言葉がピッタリくるような。
こんな危険で素敵な大人の世界を奪っては
イケナイって
若者よ、還元の裏にある諸々を読めっ」 って

老婆心ながら。

by cassis (2015-09-27 22:02) 

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