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父、入院。(3) [遠距離介護]

母の入所を見届けて、下の事務階にて契約手続き。
ケアマネ曰く、本来は入所事前にやるべき手続きである。
肝心のケアマネは、急遽一身上の都合、で今日は来られない。

とりあえず四日間、の制約の元、こちらサイドで異存があるわけもない。
言われるままに、印鑑を押す。あらゆる考えられる事象とその対処について
懇切丁寧に説明がなされる。
ショートステイの空きを探しながら・・・・保険内の利用だと、利用日数に限りがあり・・・・・
現状は部屋のキャンセル待ちで・・・・・。

・・・しかしながら利用者の頭の中なんて、この際ピヨピヨ・・である。ヒヨコが鳴くばかり。
煩雑な事務手続きなど、意味を成すのはお役所トップたる国の関係機関だけだ。
常に「事件は現場で起きて」・・・いるのだ。事態が収束するか否か。身内が気にすることがこれ以外に
必要なのか。

途方にくれたお客様・然とした母親を見るのには多少は忍びない、という気持ちもある。
母親なり、自分の置かれた状況を(少しは)考えている。
この期に及んで足りないものばかりらしい。メモに刻みながら、あれとこれと、と探しては迷い、時折
「困った困った」 と 繰り返している。
「・・・こんなことになったのも、アンタが遠くにいるからイケナイんだよ。」
ワタシを見て、思い出したように云う。
「旦那と子供は置いて、ウチに戻ってくればいいんだよ。」
この母の要介護度は1。・・・その判定の度合いはあくまで動かない足と腰。
近頃物忘れは増えたが年齢なり。つまり判断力・思考力になんらの支障も認められない。
つまり、天然、ナチュラルに上の如き判断をしている。
追い詰められている分、通常の3倍増量で毒を、吐く。

沢山の呪詛のつぶやきを聞こえないフリをして、荷物を解き、さて次は父のところへ・・・と

「アタシも連れて行け。」

・・・母の車椅子を押して、病棟へ。
(父の病院と母のステイ先は2階が渡り廊下で繋がっているのです)

父、ベッドの上。うつらうつらしている。
母はそこに乗り込み
「早く元気になって退院するんだよ。いいね。判ったね? そうしないとみんなが困るんだよ。」

・・・アナタがそれを云いますか。・・・Σ( ̄ロ ̄lll) 

父を耳鼻科の外来へ連れて行く。
十時の予約。外来の狭い待合で、誰かが通るたび、車椅子をどけながら待つ。ひたすら待つ。
十一時。先生の診察。
「・・・うーーん。食べてるところを見たいねぇ。なに、娘さんはあれなの、今日中には県外へ戻るの?
そしたら・・・ちょっとだけ早めに呼ぶから。お昼の時間、食事持ってもいっかいここ、きてくださいね。」
どこかから出向している耳鼻科の若い先生がそういうので、一度病室へ戻り、再度、
十一時半に耳鼻科外来へ。
待つ。30分。一時間。一時間半・・・・・。見かねたのか病棟の看護師さんが中を覗いて聴いてくれるが、
都度耳鼻科の看護師さんが

「そうはいってもこちらも予定を動かして入れてるんだから・・・。」

ひたすら恐縮して待つ。少なくともワタシは、今は、モメたくない。そんな体力も無い。

(この耳鼻科の看護師さんは、ワタシが県外から来ていることを知ると、「・・あらー、でも、自家用車で来ているなら電車の時間は気にしなくていいよね。都内よりは一時間くらい、近いしね。」と云う。
・・・いや、だから。ワタシはケンカは売ってませんから・・・。)

さらに四十分後、父、呼ばれる。
耳鼻科の先生の前で、一口、スプーンで食事 (細かく刻んだミキサー食) を口に入れた父。
同時に鼻からスコープが挿入される。・・・う、見ているワタシが気分が悪くなる。

「さ、おじいちゃん、噛んで、飲み込んで・・・。」

あんなものを鼻から入れつつ、ヒトは噛んだり飲み込んだりができるものなのだろうか・・・。
父は指示通り、噛んで、それから飲み込もうと必死に喉を動かす。動かして・・・・・ 

「・・・あーー、入っていかないな、はい、もう一度ゴックンして、ゴックン。」

スコープ、入る。動かす。「はい、一度ゲホンってして。それからゴックン。」

看護師さんらが愛の手のように「はい、ゴックンして、ゴックン。」

見ているワタシが「ゴックン」してしまう。幾度も幾度も「ゴックン」を繰り返す父。しまいに両の目から泪を流しながら。

「・・・あーーヤバイヤバイ、吸引、吸引!!」

先生、あわててチューブを喉に突っ込む。ぉぃ、ちと待て。鼻からスコープ、クチからチューブ、・・そんなの
この年寄りに耐えられるわけが・・・・
さらにあわてた看護師、指を父親の口の中に突っ込み、只でさえ痩せて外れやすくなっていた入れ歯に触れてしまったらしく

「・・・あっっっっ!!!」

入れ歯、口腔内に落下。喉まですべる。「あ、っっヤバイヤバイヤバイ!!」(先生の声)
寸でで吸引の管が入れ歯を捕らえた。・・・・・・・

ワタシは、この一部始終の中、ただあっけに取られ・・・あとで、気が付いたら握り締めた手の中に爪の跡がくっきりついていました。よほど焦ったのでしょうね。

先生の所見: 喉の筋肉が極端に弱っており、通常食の嚥下は難しいでしょう。
・・・原因は判らない。内科の先生と相談の上様子を見たい。来週まで、糊状のかゆか「それっぽいもの」を出して様子を見たい。・・・(先生、ちとヤングな様相。)

ワタシの頭の中:・・・危なかったでしょう、今さっきかなり危なかったんでしょう。『ヤバイ』っておっしゃいましたもんね。ヤバイって・・・・入れ歯過嚥するとこだったんじゃないんですか。・・・・

病室に帰ると、看護師さんが

「お父さん、昨日は通常食が食べられた、と思ったんだけどね。残念だったね。」
それがホントに心から言ってくれてるように思えて慰められたワタシだった。

これからまもなく帰る(他県の自宅へ)旨伝え、宜しくお願いします、と云うと
「気をつけて帰ってね。何かあったら知らせるからね。」

困るんですよねぇ、家族の方が居ないと・・・という目線で見ているヒトと、事情を汲んでくださるヒトと、
少なからず分かれるんですね。看護師さんの対応も。
たまたま父の担当の看護師さんは運よく、通院でも父を見知ってくれており、事情も或る程度汲んでくれ、またワタシの立場も気遣ってくださる・・・・・(ように見えた)

これだけのことが当事者と身内にどれほど力をくれることか。

今んとこ 心のオアシスはこの看護師さんだ。
今日一日、他の人に下げた角度より2割り増し深い角度で頭を下げて病室を後にしたワタシなのでした




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父・入院。(2) [遠距離介護]

母が入所する当日の朝。
まだ施設のバスが迎えに来るまで間があるので、居間にて支度の確認をする。
母は、「困った。泣きたい。困った。こんなことになってアタシは泣きたい。」 と繰り返すが
当然忙しいのでほっておくしかない。

「こうなったらオマエしか頼りにするものが居ないんだからね」
・・・母に云われるのが何よりキツイ脅しです(泣)

近所のTさんが様子を見に来てくれた。このヒトには、母よりふた周りは若い農家のお母さんで、
今回の件で、ケアマネとワタシからお願いされて母に何かがあった場合の連絡先になっていただいている。
たびたび母を病院に連れて行ってくれたが、お金を受け取る・受け取らないで母とモメたらしく
このごろは通院はもっぱらヘルパーさん頼みになった。

「こうなったからには、無事お父さんが退院したら、お父さんもデイサービスに預けなさい。」
と母に云うTさん。「お父さんにも誰かに面倒を見てもらう権利があるよ。」

「イヤだよ。アンタには判らないかもしれないけど、アタシは父さんが可哀想だから預けないんだよ。
喋れないし人と話ができないヒトなんて誰も相手にしないし、みじめだからだよ。」
と母。
ゴングが鳴る。カーーーーーン

「・・そんな、決め付けることは良くないよ。第一お父さん、
近所の集まりに見えた時は楽しそうにしてるし、一生懸命話してるし、伝わってるわよ。」

「そんなわけがない、第一アタシにはさっぱりなに云ってるか判らない。
アタシはとにかく惨めなのはイヤなの。・・・・・・
ケアマネのヒトなんかね、こないだも馬鹿にしたようにね、〇〇のことをね・・・・。」
論旨、ズレる。軌道修正を試みるTさん。

「まあ、色々あるけど・・・でもね、今までみたいに家事はさせられないし、お父さんだって自分の楽しみを見つけないといけないし。」

「(首を横にぶんぶんと振りながら) ない。そんなことない。アレは第一普段だって何もしてない。畑の準備だって勝手にやったからああいうことになった。こないだもね、ケアマネのヒトがね、馬鹿にしたようにね、・・ウチの父ちゃんは大学だって出てるしね、・・・」

Tさん、ワタシを見て苦笑い。「また話がズレたわ。」

Tさん、ひるまず再度 「それはお母さんのプライド、がそうさせるだけでしょう」

母:「・・・そうだよ。あたしはプライドが高いんだよ!!。ヒトに馬鹿にされるのは我慢できないんだよ!」  ( ̄ロ ̄lll) 
唇を震わせ、目を剥いてTさんを睨みつける母。はい、タオル入れます・・・。

「そろそろ、バスが来る時間だねー」 とワタシ。

ティーさんを玄関先で見送りながら
「・・・アレは大変だわ・・・。あの頑固に磨きがかかったわ。」
笑うしか無いワタクシであります。
バスが迎えに来ました。
後ろから車で追いかけて、施設と事前契約を結ばなくてはなりません。

母の荷物と、父の荷物と、父の書類と、母の書類と、
家の片付けと 畑の段取りと
あ、畑をお願いした近所のおじさんとシルバーの所長さんが畑を指差して問題発生と云ってるぞ! でも、もうアタシは出かけないと時間がないぞ!

その他もろもろ、問題山積み。 (´Д`ι)アセアセ

はぁ~。

ワタシが足りない。・・・だが 泣いてる暇はない。 


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父・入院。(1) [遠距離介護]

翌日日中、ケアマネから連絡有り。

「お父様はだいぶ体に水分が足りておらず、入院する運びになりました。・・・手続きはご家族しか出来ないので、今日中にこちらにいらして下さい。」

旦那様に知らせ、会社を早退してもらい、息子の下校を待って、急遽
二人を残してワタシ・帰省。
(何度かハンドルに突っ伏したくなりましたが必死に抑えます。)

まず病院に向かった。

病室のベッドには、父が横たわり、点滴のチューブが伸びた腕を上げ、「・・・ぉぅ。」と
小さな声で言った。
点滴が入ったので、

「だいぶ意識がハッキリされて、良かったですね。」
と看護師さん。主治医の先生同様、父のことは見知っているらしい。

「明日の朝には食事が出来る・・・と、いいですね。」 と笑顔でおっしゃってくださったので少し楽観。
父も、胃の辺りをさすって
「腹が減ったなぁ」などと、云っている。

とりあえず明日までに手続きの必要な書類の記入と入院の支度(緊急だったため) をしに、実家へ戻る。
(父は 母を「頼むなぁ。」と ワタシに手を合わせた)(こんなになって心配すべきは自分のことでしょ)

実家には、母と、駆けつけてくれた近所の方とが居た。
話題と云えば、父が入院してしまって
自分が如何に困っているか、というアピールに終始していた。ワタシは手短に父の今の状態を報告し、
その後は
庭と畑の業者に頼んでいた草取り、の段取り
新聞、鍵の預け先、など雑事に忙殺。
無理もないが
あまりに細かい日常のことが突然せき止められて行き場を失い、今、一気に溢れたかのごとく
ワタシに押し寄せてきた、という感じだ。

自分に向かって叫ぶ。「アタシが足りないよ~~ぅ(泣)」

傍らでは母が 自分の施設入所の支度をしろ、とわめいている。
母のショートステイ(ケアマネが手配してくれた) は、もう今日と云うわけには行かない。
今夜は自宅に居て、明日からとりあえず四日間、ケアマネに抑えてもらった。
認定度の低い母は、決められた日数を超えてステイすることは出来ない。
第一入所するにも部屋が押さえられる状態ではない。空き待ち・出待ち の状態だ。
(保養の里で売っている我がふるさとよ)

夜、支度を続けているワタシに、

「いつまでやってるんだ。早く寝ないとアタシも寝られない」

ブチッ・・・ワタシもキレました。此処からは怒声と罵声のステレオタイプでお楽しみください。・・・
(実際の言語はあまりにもお見苦しいため、コード範囲内の言語に変換してお届けします。)

「そんなことをおっしゃいますが、ワタクシ1人で2人分の支度をしているわけですから、
或る程度時間がかかるのはいたし方ありませんよね。」

「明日の朝やったらいいじゃないか。アタシはいつもなら とっくに寝ている時間だし」

「どうぞとっととお先にご就寝くださいませ」
「オマエが起きてるから寝られないんだよ・・・・

「親にそんな口の聞き方をしていいと思ってるのかい?」
ぶちっ(再びキレる音)

「お母様、アナタはご自身の口の利き方がキツいと思ったことはありませんか。」

・・・「だいたいオマエはアタシそっくりでキツいんだよ。」

Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン 本人から宣告を受けるなんて。
ちがうもん。
いつも「アナタはお父さん似ね」って云われるもん。(泣)

「ええ、そのとおりですとも。だからアナタのことがキライなんです。」(キレてるので前後不覚なワタシ)

「なんだろうが親の面倒を子供が見るのは当たり前なんだよ」
ケッ・・・と舌打ちしてとっととベッドに入る母。

きっと明日の朝には、「娘に叱られた」 と 近所の同情を買う作戦に出るのだろう。

しかし今回は 誰の目にも明らかに
父が倒れた原因は 判っている。
行く先行く先、あまりにもその現状が伝わっていることに 恥ずかしく情けない思いにツブれそうになる。

「お母さんはヒドいよ。・・・あれじゃお父さん大変だ」

判っているにもかかわらず、現状に、皆、手をこまねいている。だが驚くなかれ
この圧倒的な力を持つ母の前に、無謀にも立ちはだかった猛者もいて・・・・。
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父。 [遠距離介護]

日帰りで実家へ。昨日から文字通り「東へ西へ」の道程だ。

母曰く 「アタマのおかしくなった」 父の様子を見に行った。
居間に居たのは、現状がいまひとつ理解できず苛立つ母と

矢吹 丈 の如く 燃え尽きてうつむいている 父。
(笑っちゃうほど、まんま"最終話"のジョーだった。)

骨と皮、という形容がこれほどぴったりと当てはまる図が他に浮かばない。
飢餓地帯の子供だって、瞳はしっかり生きていることを知らせるように輝くが
父の目は濁って あらぬ方に浮かんでいるかのようだ。

「お茶はこぼすし、食べ物はこぼすし、何か聞いても返事もしないし、第一、
・・・
ご飯が出てこないんだよぅ。」と母。

・・・父は私達が帰省したのを知ると手を軽く挙げる。

孫が来たのを知ると、うっすら笑顔になり、いつもの「日常」に戻ろうと、懸命に引き出しの隣から
ジュースのパックを 三つ、 おぼつかない手で出して、前に押し出す。

ワタシたちに、「飲め」 と云っているのだ。
そうして、自分が手にしたドリンク剤は、口に入れてもこぼれてしまう。
こぼれるのは、飲み込めていないからだ、と真っ先に旦那様が気が付いた。

なぜ、

こんな風になってしまったのだろう。

先ほど叔母(父の姉)が従兄弟と一緒に来てくれて、ご飯の支度をしてくれたのだそうだ。
此処に至って 母の心配は今夜と明日の「自分の朝ごはん」 である。

明日はケアマネが (あくまで善意で) 父に 立ち合ってくれて受診する。

消えてしまいそうな父は、私達が「今日は帰る」 というと

「大丈夫だから。気をつけて帰れ」 とかすれた声で、しかし笑顔で、手を振った。
誰がイケなかっただろう。アタシなのか。そういうと旦那は「そうじゃない」、と云うけれど。

振りあげた握りこぶしの 収めどころがみつからない。
自分で自分のみぞおちを 殴りたかった。
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本来ならお家の方が。 [遠距離介護]

夜 実家の母親より電話があった。
いつもの繰言(くりごと)が続く。
只、この季節はここ数年、父親の体が弱る時期でもあり、気にはなった。

「おじいちゃんがフラフラしていて、どこもかしこもつけっぱなし・出しっぱなしで目が離せない」
・・・ので

明日のデイ・サービスはお休みするつもりだ、という内容だった。
いつも電話をよこすのは日中なのに、こんな夜も遅くなってヘンだな、と思っていたら
話の端々に

「〇〇くん(=旦那の名前) が家に居るときに電話をかけようかと思って・・・」

母親、窮状訴えの矛先をワタシから旦那、にスイッチしようと考えたらしい。

「ワタシらはもう親戚やら相談先が無いんだから〇〇くんにもちゃんと話しておかないと。」
娘の婿だからって、自分の息子だとは思わないで欲しいっす。
ワタシがちゃんと話しているから、は もうはなから信用していないらしい(苦笑)

現状をケアマネに相談しよう、というと それは気が進まない様子。
「・・・あの人はなんかイヤ。モノの言い方が上から目線だ、って周りの人も皆云ってるよぅ。」

居丈高 と 上から目線の権化のようなウチの母親をして「上から目線」 と云わせる
ケアマネK、恐るべし。

だが確かに実家の近所の「親切なTさん」も 「あの人はちょっと・・」と云うようなお人柄らしい。
(・・そういうTさんはウチの母親を 『言い訳ばかりしている』 と云っておられました。オトナの世界ですわね)

とにかく父親の現状を一度お医者さんに診てもらいたい。そのため、出来れば付き添いのヘルパーさんをお願いできないかケアマネにワタシから訊いてみる、という話をして電話を切る。
それとできれば(父親のためにも)デイには行くようにと薦めておいた。(父親が心配だからデイの日だけど家に居る、なんて父親にしてみればありがた〇迷惑だろうと思ったのだ)

で、翌日。「やはりデイに行く。そしてKケアマネに色々相談する。」 と連絡があった。
一応父親にも電話に出てもらい、無事を確認。
不自由な言葉で、しかししっかりと「大丈夫。」と聞こえた。
只、無理はしないで、と云っておいた。

その翌日。ケアマネに連絡すると、来週、父親に付き添ってケアマネ自らが同行して担当医の先生の話を聞いてくれるそうな。「・・・アタシが一番話がわかるから。その後で娘さん(ワタシ)にこっち来てもらって・・・」

(ワタシはケアマネの「・・こっち来てもらって」に毎回過敏に反応してしまう。
そんなに気軽に呼ばれても、行けない現状だから行政にお願いしているのだ。
それを、「じゃ、ちょっとついでだから寄って貰って」 「・・又今度こっち来てもらって・・・」 
そういうフットワークを活かせる立場じゃない。) 閑話休題。

そして家の中や台所が不潔な状態になっている現状をひとしきり教えた後、
(一週間前の牛乳が配達ボックスの中に入っていた、等など)

「・・・まぁ、こんなことは本来はお家の人がするべきなんだけども

こともなげにヒトのはらわたをエグる。お家のヒト、ってワタシしか居ないじゃないですか。

・・・ええ。ぐうの音も出ません。でませんとも。

だけども。

それが出来ない人たちの為にだって 介護サービスはあるのじゃないですか。
その為に介護保険を今、私たちが生活の中から負担しているのでなければ

なんのための保険でしょう。
私たちが堂々とその恩恵を受けてはイケナイのですか。

こんなみじめな思いをするなら自分で看た方がマシ、と思って
被介護者共々、戻れないところまで沈んでしまうヒトだって居ないワケじゃないでしょう?

・・・・なぁんてことが電話口で声に出せたならすっきり、するだろぅなぁ~。


実際には 「アナタの善意におすがりするしかないんです」 的なご挨拶に終始しているワタシである。
電話の向こうに居るのが 『世間の代表者』 のように思えてくるのだ。
旦那は決してそんなことはない、というけれど。
あの人たちと血がつながっているのはワタシなのだ。

これが当該者。当該者家族。お客様でも顧客でもクライアントでもない。

ああ、こぞって民間企業が参入したがる夢のような介護バブルは来ないものか。
あちらこちらと見積もりを両手に持ちつつ複数の営業を呼びつけて

「・・・で、お宅の介護のウリ、はなんなの?」

・・・くらいなことを言ってみたい(泪)


電話を切ってから

「どうせ向こうに呼ばれるのだったらワタシが付き添えばよかったじゃん。」 Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン

・・・こんな単純なロジックにすら気が付かないワタシ含め

全体的にケアマネペースだぞ。



P1040431.jpg

写真と内容とは無関係です。

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配達されない母への手紙。 [遠距離介護]

何かちょっとした 息子の将来を寿(ことほ)ぐ出来事があり、
迷ったが実家に連絡してみた。
孫のことなら、喜んで聞いてくれる、と。
報告だけして、お茶を濁そうと思ったワタシも甘かったが

「・・そんなわけで、息子は夢に向かって頑張っているよ。」

ふん、と鼻を鳴らした後、母親は云った。

『・・・それで、アタシたちは、どうなるんだい????[むかっ(怒り)]

(?)

息子の将来の夢、についてはかねてから聞かせていたし、
理解がある・・・・と 思い込んでいたのは、こちらの全面的エラー、だったらしい。


『・・・だいたいね、そんなことになったらどうしようと、前から思っていたのさっ』

(絶句)

強い希望を示すときにはまず、否定形からプレゼンしていくのが、母親の手口。

『〇〇くん (旦那の名前) に 家と子供のこと全部任せちゃって、アンタだけこっちに戻る・・・ってワケにはいかないんだろうねぇ・・・?』

(頭真っ白)

『でもねぇ、どこに嫁に行って暮らしていようと、娘なんだから親に何かあったら、全部捨てても戻ってくるのは

当たり前

のことでしょ?? ねぇ???』


・・・・・・叔父が亡くなり
従兄弟夫婦が、残された叔母を施設に預けたらしい話しをし、『・・・だからもう、アタシらはどこにも相談する場所が無くなったんだよ』 と云うのですね。

叔父が生前、アナタ方の親戚関係はいびつだった。
双方が元気な時は仲良く付き合っていたのは知っています。
けれど、どちらか具合の悪いときに限って何らかの理由をつけてお付き合いを絶っていたじゃないですか。
相談し会える仲、じゃ無かったでしょう?
アナタは

具合の悪いときには アタシに頭を下げて親戚づきあいを上手くしろ、と云い
(立ち回れないアタシを、「気が利かない、世間並みじゃない」 と 云いました。)
先方の有事、には

『駆けつける義理なんてない』

怒気を含んだ声で言い放ちました。ワタシは、従兄弟たちの間でも居場所が無く、もうずっと以前から
親戚の集まりはニガテになってしまいました。
彼らはけっしてワタシに冷たくは無かったけれども
話が母親であるアナタ、に及ぶと、暗くて汚くて辛い、言葉が飛び交うのが小さなときからイヤでした。

ワタシはオトナになってから解ったんです。
アナタが実は、アナタがワタシに語って聞かせるほどには完璧では
なかったこと。それほど沢山の
『味方』に
囲まれてなどいなかった、ということに。

そのことが、過剰にワタシを
身内だけを守りたい、という衝動に走らせていたんですね。
たとえば

「ワタシは自分の母親がキライなの」 というともだちが居たら
その場で「絶交宣言」して、そういう自分自身を
ワタシは正しい一人娘で、誰と比べても認められる資格のある素晴らしい存在だ、とほとんど
誇りに近い思いを抱いていました。

こんなに時間がかかってしまいました。
全て、
思い違っていた
ということに。

(選択)

ごめんなさいワタシは・・・
おそらくこの瞬間
世界で一番

(断言)

アナタが憎くて  嫌い です。

P1040181.jpg

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誕生日を忘れて。 [遠距離介護]

実家の母親から電話あり。

来週からデイの他に、自宅でお風呂が入れるように、介助のスタッフ依頼と風呂廻りの補助器具の設置を
ケアマネと相談した、とのこと。
ケアマネより、娘さんにも連絡しておくように、との指示があったから電話した、と。

「上から目線で物を云うからあんまり好きじゃない。でも、面倒見てもらってる立場だからガマンするよ。」

適当に相槌(あいづち)を打っていたら
突然、

「布団の中で泣いたてぇ(方言)」

「今日はアタシの誕生日なのに、誰にも祝ってもらえなかったよ」 と、涙声。

誰にも祝ってもらえない・・・・・って


確かに今年、も、忘れていましたが。・・・
そもそも

去年も
一昨年も
そのまた前の年も

さかのぼってン十年、
ウチでは誰の誕生日も祝ったことが無いじゃないですか。・・・・
一人娘のこのアタシの誕生日ですら、
「おめでとう」の 一言も 言ってもらったためしが無い。

できるかぎりやんわりとそのことを指摘すると
驚愕の面持ち(を帯びた声) で

・・・だってそれは確かに悪かったし不憫だったと思ってるけど
そもそもワタシらの時はまだ戦争も終わっていなくてそんな敵国の浮いた行事なんかしたらそれこそ
村八分になってしまう頃だし(※ここらへんで止まらなくなっている)そーいう時代にワタシらは育ってるから誕生日も記念日も祝う習慣なんて無くてましてやアタシも父親も仕事して忙しかったし
・・・・しかも家も貧乏だったし・・・etc・・・・。

突っ込ませて欲しい。

ワタシが生まれたのは

昭和40年台・です。(戦争、終わってるし。)

ワタシは近所のお友達のお誕生会にガンガン呼ばれてました。

アタシの本家の同級生にして従兄弟(いとこ)のオンナのコは、大変派手な『誕生会』を催すウチで有名でした。
プレゼントにみすぼらしく見えない手作り品を持参するのにどんなに知恵を絞ったか
お母さん、アナタにはわかりますまい。

ワタシが成人して、社会人一年生になったときに友人に薦められて
初めて買ったプレゼントを
「趣味が悪い。」と
他人にあげてしまった事を

きれいさっぱり忘れて泣くのですかい?!
アナタより先にきたはずの父親の誕生日のことは?
(きっと今朝から責められているであろう父親が哀れでならない)

テレビを賑わすスカイツリーのオープンと、自分の誕生日が重なったことが
自分を哀れむ格好の材料になったらしい。
デイの日程がずれて、するはずだった誕生祝のイベントが不明確になったことも
機嫌を損ねる材料になったかもしれない。

イイ歳こいて、ヒロインか。アンタは。

このヒトといい、今は亡きこのヒトの兄(ワタシの叔父)といい、
晩年、自分だけを哀れむところがソックリになってきた。
O型同士、他人の苦言にはガッシリと耳を塞ぐ。
くどいようだが
辛いのは

このヒトの血を確実に半分
ワタシが受け継いでいることなのだ。

色々胸に去来するものがありすぎて、受話器のこちら側で無言になるじかん約一分。

「・・・・気に入らないようだから、切る。」

ガチャン、・・・・。

どうです、この
真珠湾攻撃のようなやり口。母親、毎度マイナスゼロ地点からの絶好調。

ワタシが受話器を抱えたまま、呆然と立ち尽くしているのを見て息子が
「かーちゃん、どうしたの?誰?」

「おぱあちゃん・・・。」

「あぁぁ。・・・なるほど。」

何がなるほど、なんだ。息子。

もしかして橋田寿賀子ドラマにおけるえなりくんのキャラ、みたいに
すべてを悟った上で
すべてを呑み込んでしまっているのじゃないでしょうね??

考えてみたらこの息子のお宮参りや入園・入学式
ジジ・ババが関与することは無かった。
アタシを通り越して息子が不憫になったり・・・・

いかんいかん、アタシがヒロインになっているじゃないか。

穴を掘ろう。
心の中に。
そして叫ぼう。

「・・・ク●ババァーーーー!!!!!。」

こうしてアラフォーの眉間に深い溝がまた一本、刻まれるのだ。

いちがぽーんとさけた。






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父。 [遠距離介護]

父が痩せて行く。

近頃は病院へ二週間にいっぺんくらい 点滴を受けに行くようだ。
舌癌で力の無くなった口調が、更に弱く、聞き取りにくいものになっている。
食事の時にこぼすのを母親にとがめられ、よだれかけ、をかけさせられている姿が、ツラい。

歩くのがやっとなくらいヨレヨレになっている。
夕べは夜中の一時くらいに起きた、といって母にやはり咎められていた。
「ボケた。」と母親は言うが、ワタシは、

眠れないのじゃないか、と思う。

どんなことがあっても、夜は眠る父、だった。

舌を切除してからめったによこさなかった電話、を
この頃 かけて寄越すことがある。

前より更に、云ってることがわからなくて、
お互いにツラい。
きっと

ワタシに話したいことが
話さなくてはいけない、と思うことがあるから
かけて寄越すのだと思うけど

やがてお互いにアキラメてしまうのだ。

父が痩せて行く。

母親をハッキリ憎んでいる自分が

イヤになる。
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母語録。 [遠距離介護]

連休を利用して実家に戻る。

デイから戻るのが遅かった母。

(父を近場の温泉施設に連れて行こうと思っていた、そんなときに限って遅い。結局行けなかったし)

デイのヘルパーさんに車から降ろしてもらう母。
「・・・あー、楽しかった。[るんるん]

ちょっと遠くの観光地までお花見に行き、『菜の花畑』 を見学してきたのだそう。

ヘルパーさん達が帰るのを見計らって一言。

「わざわざ遠くの山まで、畑に咲いた菜っぱの花を見せられた。・・・いったい何が楽しくて、

    わざわざ「畑」の「菜っぱ」の花、を見に行かなくちゃならないんだい!」



眠るまでに五回ほど 繰り返していた。

苦労して畑の菜の花の間近まで、母を運んでくれたヘルパーさんに
幸あれ。  (はぁ~・・・・)
(ため息)

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診察の結果。 [遠距離介護]

母親より連絡有り。

先日見つかった胆石は取らずともよろしい、とお医者様より。
「あー、よかったじゃない。」とワタシ。

だがしかし母曰く、

「・・・もう手遅れだから、切る必要がないって云ったのじゃないかって思って・・・」

O型人間のマイナス思考(要介護1)はワタシの理解をはるかに超えます。[たらーっ(汗)]

通院付き添いをお願いしたヘルパーさんが大変気の利いた「良い」方、だったそうで、

「さすがにプロだね。オマエとは段違いだ」

心の声: (・・・だったらアタシにもお金を下さい)[むかっ(怒り)]

結局母に残された課題は食事制限。

手ごわい腎臓の問題。ケアマネの云うことを聴くように、と云ってもこのごろは都合の悪いことは耳が聞こえてない振りをする。

「電話が遠いようだから、もう切るから。」
ときたもんだ。あーーあ。
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